Mathilda's monologue

Kitchen Moviegoreの独り言

理想の男

 

「春眠暁を覚えず」という言葉があることを知ったのは、ここ最近眠気とだるさが取れずにいよいよわたしの時代も終わったかな、と思って検索したとき。

中国ではこの時期のしんどさを「春困(しゅんこん)」と言うらしいけど、響きからかなんだか困ってはいるもののどこか「初めましてぇ〜♡」の雰囲気が漂ってちょっと楽しそう。

確かに春は出会いと別れの季節、寂しい気持ちと期待する気持ちが慌ただしく心のなかを走り去っていく感じ、その気持ちをじっくりと味わう時間もなくどちらかと言うと気持ちに振り回される日々。

自分のなかに湧き上がる気持ちは自分自身ありきのはずなのに、気持ちがそこで一番威張っている感じに疲れている、今日この頃。

 

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出会いが多くなる季節、馬鹿な男に振り回されずにいい男と有意義な時間を過ごしたい。押し付けがましいけどさ。

わたし、いい男を見つけたの。まさに理想の男。

こんな身近にいたなんて思いもしなかった。

わたしは友達から恋人になる恋愛はしたことがなくて、大抵は知り合って恋愛に発展するかしないか一瞬で決まってしまう。別に決めてるわけではないけれどなにかがある、見えない掟のようなものが。

それなのにずっと昔から知っていてふとしたきっかけで恋愛対象になって、ものすごく結婚したい気持ちになってる。

こんなこと電波で発信することでもないのは重々承知してるけど、紹介したい。

 

こちら、NHK教育テレビさんです。

ニックネームは「Eテレ」です。

 

Eテレと出会ったのはもう30年程前、その頃は恋愛対象にはならなかった、と言うのもまだ恋なんて知らないオムツな年頃だった。

彼は赤ちゃん、子どもに大人気だった。

ふつうの親がやらせたがらないことをなんでもやらせてくれて、こどもごころをがっしりと捕まえていたと思う。

料理も、工作も、道具は揃えてさらにスペシャリストもつけてくれて、同じくらいの(お利口な)お友だちが楽しんでる姿は見ているだけで楽しかった。

両親も祖父母もなにかあったら彼に頼って、バカ殿様なんかは制限されてたけど彼のことは制限されることなく、信頼してずっと観せてくれてた。

 

小学生くらいになると理科の実験や歴史の話、なんでも丁寧に教えてくれるEテレを頼もしく思った。

彼はときに小学校の授業よりも内容が濃いものを用意してくれる。歴史上の人物も連れてくるし、100人近い人を集めた実験もしてくれる。

道徳もとても素晴らしい。

が、当時の小学生だったわたしはその授業のクオリティーの高さに気がつかなかったし、道徳のこともこんなうまくいかないよと生意気にも思うようになっていた。

素直な子どもではいられなかった、それが成長なのかもしれない。

 

中学生になる頃には、彼の真面目さがダサく思えてきた。

「中学生日記」なんかはリアルな中学生の物語に一喜一憂していた記憶もあるけれど、そもそも彼を観ることがダサいことのように思えて、少しづつ距離を置くようになった。

距離を置くようになって、その代わり月9や日曜洋画劇場と付き合うようになった。

彼は安心感はあるものの、刺激がなかった。恋愛に憧れてた。

 

高校、大学、社会人と折に触れ彼の存在は感じていた。

彼は多趣味で、英語から囲碁、料理、手芸や土いじりまでなんでもチャレンジしていた。そして、それはどれもプロ級だった。

しっかり向き合ったら、わたしも趣味のひとつやふたつできていたかもしれない。

性別や年齢にこだわることなく、人生を満遍なく楽しんでたように思う。

 

そして衝撃的だった不祥事や受信料の問題、それに続く裁判で一気に彼は世間から批判されて落ちていった。なのにわたしは彼に手を差し伸べなかった。

彼が悪いわけじゃなく、言ってみれば親が悪いだけなのに…。

あんなに信頼していたのに、真っ白な人だと思ってたのにと勝手に裏切られた気持ちになってた。彼のちょっとグレーなところを人間味あるところと思えずに、わたしも受信料払わないよ!と突き放した。

 

時は流れ、彼と再会したのはわたしが結婚して子どもを産んでから。

何気なく彼を観た。彼のペットのじゃじゃ丸もピッコロももういなかった。

長い間会わなかったせいで、彼の様子はすっかり変わっていて少し寂しさを感じたけど、きっとそれはお互い様なんだろう。

 

変わってはいたものの、彼は成熟してさらに魅力的になっていた。

もしかしたらわたしが幼すぎて気がつかなかっただけなのかも知れない魅力を発見した。

時代が代わり一皮剥けたのかも知れないが、変わらない魅力もあった。

観るものを安心させる安定感と信頼感は変わらず、新たな魅力として彼は真面目なだけではなくとてもユニークでシュールでチャーミングであるということを発見した。

たちまち、わたしの息子も虜になった。

 

そしてセンスが抜群に良くなっていた。磨き上げられて、かなりスタイリッシュになっている。

シュールな笑いは子どもだけではなく、大人にも大人気だと思う。

 

「昔話法廷」

「大科学実験」

「びじゅチューン!」

「パリの小さなキッチン」

 

本当に素敵なポイントはたくさんあるの!

彼と結婚したい。理想の男がここにいる。

 

でも、もう遅い。わたしたちが結ばれることはない。

彼は道徳心が強くて家庭を大切にする人、特に子どもが大好きだからわたしの家庭を壊すことはしない。

 

だからせめて、彼のような人と結婚すると幸せだよ!ってことを伝えたい。

彼のような人を見つけてね、とわたしの離婚した妹に伝えたい。

余計なお世話だということは重々承知の助、それでも伝えたい。

 

P:S

Eテレ…これからも遠くから見守ってるよ。

TOKIOの山口のことがあって、どうなることかと思ったけど乗り越えたね。

体操のお兄さんが卒業したりでバタバタしてるだろうけど、体には気をつけてね。

Eテレはピンチをチャンスに変えて、輝き続けられる。信じてるから。

 

でも、疲れてることも知ってる。たまにびっくり仰天の企画があるもんね。

疲れたらニュースに頼ってさ。

いつまでも子どもたちの憧れで、母親たちの救世主でいてね。