Mathilda's monologue

Kitchen Moviegoreの独り言

モラトリアムおばさん

モラトリアムとは?

モラトリアムは直訳すると、「一定期間の猶予」「一時停止」になるそうです。

心理学としてのモラトリアムは「人が大人として社会に出る前の、社会的な責任や義務を果たすことを猶予されている期間」という概念だそうです。

どのような大人になるのか?なりたいのか?をじっくりと考える期間としては、大学生を含む青年期をいうことが一般的だと思います。

自分としっかりと向き合い「人生設計」をすることで、自分という芯の強い軸ができるそうです。つまり、モラトリアムの期間に向き合った自分像と社会から見た自分への役割の期待が一致した状態=アイデンティティーの確立が成立した状態が、自分の存在意義を見いだすことができ、精神的にも安定できるそうです。

モラトリアる?

モラトリアムが青年期のもので、人生設計の第一歩として就職した後は終身雇用が当たり前で退職日まで一生会社に尽くすというのは、もう昔の時代の話になりました。

選択肢が増え、価値観が昔よりは多様化した現代では、社会人になった後も選択する機会が増えました。

社会人大学、転職、フリーランス等、働き方の選択や田舎暮らしや海外移住等、生き方の選択肢は増えています。

 

選択肢が増えたというのは女性も同じですが、より女性の方がイベントが多い分人生の分かれ道に立つ機会は多いのかもしれません。

 

しかし、「選択肢が多い」と言ったけれど、「選択肢が少ない」のもまた事実なのです。

現代は女性が生きていくうえで昔ほど縛るものはなくなって、仕事も結婚も出産も自分の意思で選択することができるようになったけれど、選択したからといってそれが自分の努力だけでその道に進むことができるかといったらとても限られた選択肢の中で進んで行くしかないのです。

もちろん、進めない時もあります。阻まれることがあります。

 

そんな時、モラトリアるのです。

何度も何度も自分の人生設計を書き直さなければならない状況に陥ります。

 

わたしも現在モラトリアム中です。

人生の中で何度目のモラトリアムでしょうか。

 

f:id:Mathilda_1994:20190320214418j:plain

モラトリアムおばさん

女性は、母親、妻、そして自分自身(女性)という何個も立場があります。

独身のときももちろんモラトリアムはありますが、特に結婚してからの選択は自分自身だけで決められる問題ではないことが多いので、モラトリアムが拗れます。

母親としてのモラトリアム

子どもをつくる、何人つくる、成長に応じた育て方の選択

妻としてのモラトリアム

夫の関係、パートナーから家族へ、家族の形の変容

自分自身(女性)のモラトリアム

仕事、趣味、お姉さんからおばさんへ

 

など、これらが複雑に絡み合って、モラトリアムに直面します。

男性は一家の大黒柱としての立場が最優先事項として確立しています。特に日本は「仕事第一主義」がまだまだ根強く、一時期は主夫やイクメン等ジェンダーレスの波はきていたものの、実際はまだ浸透しているとは言いがたい状況です。

男性自身もそこの選択肢が女性より少ない分、疑問を持ちにくいように思います。

女性の場合、どのように優先順位をつけるかは個人差が大きく出ます。

また、その人の環境にも大きく左右されます。

専業主婦、兼業主婦、パート、社員、仕事と家庭のバランスをどのような比重でとっていくかは、いわばその人次第になります。

逆に選択できない状況の女性なら、モラトリアム期間もないでしょう。

 

男性も女性も選択ができるからこその、苦悩があるのでしょう。

 

 

モラトリアム歴

専業主婦から専門職へ

専業主婦8年目にご縁があって急遽仕事の話が舞い込んできたとき、子どもたちは小学1年生、幼稚園児、0歳でした。

保育園落ちた日本死ね問題の前だったこともあって、まったく保活なんてしていませんでした。保活どころが現状把握もしてませんでした。

仕事のスタートが2週間後。受けられるかどうかも含めそこから動き始めました。この頃は働きたい気持ちが高まっていました。

学童も定員があるので、長男が入所できたことはラッキーでした。

次男は幼稚園から一時保育へ、三男も同じ一時保育へ。

認可保育園は待機児童となりました。無認可保育園は考えませんでした。

認可保育園の一時保育を利用したので、1日預けるのに2人(次男、長男)で約8千円でした。お給料は全て保育料に行くましたが、それでも預けた実績がないと保育園に入所できないので、仕方ないと思い割り切りました。

気持ち的にも社会復帰できることがとても嬉しかったし、実際とても楽しかったのです。

 

半年ほどで次男が入園できました。年中組からの入園は少ないですし、年齢が大きくなれば保育園の受け入れ人数の分母が大きくなるので入りやすくなります。

ただ、三男の一時保育園とは別の保育園でした。

この時点で、朝の送りは(長男を除く)2ヶ所、お迎えは学童を含む3ヶ所でした。

ただ、金銭的には次男の分が月額固定になりました。

一時保育の1週間ちょい分の金額で、1ヶ月預けられました。

 

さらに半年経って三男が入所できましたが、なんと次男とは別の保育園でした。

送りとお迎えの3ヶ所は変わらず、金銭的にはやはりらくになりました。

しかし、一時保育はバック一つを預ければ済んでいたのですが、保育園は教室に行って準備や着替えを済ませなければなりません。それも2ヶ所です。

 

この頃になると仕事も楽しいだけではなくなってきます。

専門職としての悩みや、仕事場の人間関係に悩むことも増え、肉体的にも精神的にもピークに達しました。

 

せっかく2人とも保育園に入園できたのに…そんな思いもあって、とにかく力を振り絞って仕事をしていました。

私がいっぱいいっぱいで長男の宿題を見ることもできない等、育児に対する罪悪感も増えていきました。

 

結果、うつになり退職しました。

詳しい話はまた、別の機会に。

 

f:id:Mathilda_1994:20190320231729j:plain

 

専門職から事務職へ

退職後2ヶ月は保育園に預けられますが、就職しないと3ヶ月めには退園です。

次男があと数ヶ月で卒園を迎えようとしていたこともあり、なんとしてでも退園は避けたかったのです。

焦りらないように言い聞かせながら、通院と服薬と就職活動をしました。

うつは退職してから一気に悪くなりましたが、逆に回復も早かったと思います。

これでもっとしがみついていたら回復も遅かっただろうし、取り返しのつかないことになっていたかもしれません。

 

専門職での復帰考えていませんでした。

やりたい気持ちはありましたが、あの頃のような生活はできないと思いました。

完全にキャパオーバーでした。

独身の頃は仕事に全力を注げたのに、今はもう無理ができないんだと実感しました。

 

専門職は仕事の環境も、仕事の内容も精神的な負担が大きい仕事なので、事務職で探し退職して3ヶ月目にどうにかギリギリで決まりました。

(退職後、診断書も提出して少し退園までの猶予がもらえました。)

それでも仕事の内容と金銭的な待遇、会社の規模など、どこかキャリアになるようにという気持ちはあったと思います。

働くのならば、全力を注げなくてもやりがいのある仕事がしたかったのは、わたし自身がお金のためと割り切った働き方ができなかったのと、子どもとの時間を削ってでもしたい仕事をしているという理由が欲しかったからだと思います。

 

事務の仕事内容は本職とは違って、割り切れる仕事だったので気持ちはらくでした。営業事務だったので目指すべきところが明確で、自分の仕事ぶりがそのまんま鏡のようにかえってくるのもやりがいを見つけやすいところでもありました。

しかし、事務職は10人程の女の園…要項にはアットホームと書いてあったけれど、バリバリの体育会系の年功序列型の女特有の職場でした。仕事とは別のところで神経をすり減らしました。

また、職場にはお子さんがいる人が私のほかにひとりしかいませんでした。

 

どうにか2年は続けましたが、この会社でキャリアを積んでいくことは考えられませんでした。

今回は、うつになる前に馬鹿らしくなって退職を決めました。

 

せっかく本職とは違うところで負担が少ない(精神的に負担が少ない)職種を選んだのに、人間関係に疲れ果ててしまっている。

なんのために働いているのか。

子どもたちにいってらっしゃいもお帰りなさいも言えないような生活で、仕事も楽しくない、せめてお給料がそれに見合うものならまた違ったかもしれないけれど、全く割に合わない。馬鹿馬鹿しい。

 

ちなみにこの会社では、自分がおばさんになった現実をことごとく突きつけられました。

おばさんもピンからキリまでで、どんなおばさんになるか、目指すかというのもとても考えました。

この話は、また別の機会に。

 

f:id:Mathilda_1994:20190321001207j:plain

リセットと充電

で、退職して、絶賛モラトリアム真っ只中。

とりあえず、ヨガをはじめました。少し自分と向き合いたいです。

目指す方向が見えても、その方向に向かうには大きな壁があってスムーズに行かなかったりして、また別の道を考えなければならなかったりします。

そもそも、自分の目指す方向を変えなければならないかもしれません。

 

誰もがモラトリアムになる可能性があります。

ただ、モラトリアムはネガティブなことではないということを覚えておいてください。

必要なことですし、重要なことです。

 

気力や体力には限界があります。

もう一踏ん張り!と力を振り絞って頑張ってしまうことがありますが、それはただ前借りしているだけです。

頑張り続けると、どんどん気力や体力の借金が増えていきます。

 

自分は後日どうにか帳尻を合わせて、前借り分を返せていたとしても、お子様はどうでしょう?

寂しい気持ちや甘えたい気持ちを我慢して、振り絞って頑張ってたとしたら?

 

今、保育園が入れなくて途方に暮れている方、次の手を考えてる方、4月から「小一の壁」に怯えている方、PTA役員決めに怯えている方、分かれ道に立っている方たくさんいると思います。

 

立ち止まることは悪いことではないです。

モラトリアる?